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労働の対価の問題-知的障害者の労働の対価は低すぎる-

『AIGO』1997年09月

 労働省によると、企業で働く知的障害者は約6万人と報告されている。厚生省の基礎調査では、一般就労は3万8千人(いずれも臨時雇いを含む)であるという。調査の目的や方法が異なると違った数字が出ることがある、としてもこの差は大きすぎる。同じ基礎調査で、在宅の知的障害者約20万人のうち、何らかの仕事に就いている人は約13万人というが、あとの7万人は何をして生活しているのだろうか。どのようなかたちで社会参加をしているのだろうか、詳しく知りたいと思う。
 約13万人の知的障害者が何らかの仕事に就いているとしたら、一般就労以外の就労は、社会就労センター(授産施設)や共同作業所等であろうが、問題はその労働の対価(賃金)の低さである。一般就労の場合でも最賃除外が多く、月額10万円以上の収入を得ている人は3分の1強にすぎないという。また、社会就労センターでの月額平均工賃は1万円前後であり、実働日でみると1日当り500円弱という低さである。
 こうした処遇は、知的障害者の働く能力を客観的に写しているといえるだろうか。企業経営の基本からいえば、粗利益(加工高)対人件費率は50〜60%ということ(装置産業の場合はずっと低くなる)であるから、生産性が一定のレベル以下になると経費(直接・間接)にも足りないため、賃金はゼロということも理論的にはあるのである。そうならないように企業は多様な努力をする。また、少人数ならそのマイナスは吸収することが可能である。
 一方社会就労センターは、通所の場合、月額1人当り10万円以上の措置費を受けての就労事業であるのに、1万円程度しか作業工賃が支払われていないのである。最近、世界的な潮流ともなりつつあるワークショップ見直し論は、障害者だけの働く場は生産性を二乗して悪化させ、これを改善できず、費用効果に疑問があるという論理から出発している。わが国でも一部研究グループは、多様なかたちの就労形態を模索するなかで、賃金補助付雇用制度を提案する動きがある。その根拠は、この社会就労センターの費用効率に着目して、仮に措置費の半額程度の補助金をつけて企業への雇用を促進すれば、同じ予算で今の倍の障害者が一般就労できることになり、障害者にとってもその方が有利になるというのである。就労しても地域自立の経済基盤に見通しが立てられない現状は、変えていかなければならないのである。現状が改善できなければ、社会就労センターの解体も視野において、抜本的改革に向けて行動しなければならなくなるであろう。知的障害者の労働対価は不当に低すぎるのである。

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