IT技術者在宅養成講座
講座の概要
身体的に重度の障害をもつ方を対象に、就労に必要な情報処理技術や社会性を、在宅などで学ぶ2年間の講習です。
在籍者は計10名程度で、年齢は10代から50代まで様々な方が受講しています。
1982年に事業を開始し、これまでの修了生は150名を超え、そのうち8割がなんらかの形で就労しています。
こんな方におすすめ
自分にあった働き方をしたい
- 在宅就労に関心がある方、在宅か通勤かで迷っている方
- 外出に負担がかかる方、通院など時間的に制約がある方
- 無理せず体調や生活リズムなどを整えたい方
就労に必要な技術を習得したい
- パソコン操作などを基礎から学びたい方[PC初心者]
- アプリケーション操作やプログラミングなど、専門的な技術力をより高めたい方[PC中級・上級者]
- 情報処理技術者試験などの合格を目指したい方
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当講座は基本情報技術者試験の「科目A試験免除対象講座」に認定されており、希望者は免除対象講座を受講することができます。
社会との繋がりを持ちたい
- 在宅コミュニケーションやビジネスマナーを身に付けたい方
- 同じ重い障害を持つ方たちと交流したい方
- 他の障害福祉サービス、教育機関などを併用したい方
講習期間
4月から翌々年の3月までの2年間です。
2026年4月入講した場合、2028年3月修了となります。
夏期休暇(1ヶ月)、春期・冬期休暇(各2週間程度)があります。
体調不良などにより、一時的に講習継続が難しくなった場合、最長1年間休学できます。
修了を待たずとも、講習期間中に就職される方もいます。
カリキュラム
1年次は、個別学習が中心。体調管理や時間管理も整えていきます。
2年次は、共同演習課題も加え、在宅コミュニケーション力を高めていきます。
共同演習課題以外の学習科目は、担当講師と相談の上決定します。
主な学習科目は以下です。
[学習科目の表示] [学習科目の非表示]
1年目前半
コンピュータの基礎知識を身につける。
- Windowsの基本操作、セキュリティの基礎知識
- Word、Excel、PowerPointの基本的な操作技術
- プログラミング入門(Python)
- ITパスポート試験対策
- 基本情報技術者試験 科目A試験免除講座
1年目後半~2年目
2つのコースに分かれ実践的な技術を身に付ける。
アプリケーションコース
- 一般的な事務作業に必要とされる情報技術の活用能力
- Word、Excelの実践的な操作技術
- Microsfot Office Specialist試験対策
- Web制作
- Webアクセシビリティ
プログラマコース
- 基本情報技術者試験対策
- Web制作
- Webプログラミング(JavaScript)
- Webプログラミング(PHP)
ビジネスメール作成、応募書類対策、面接対策、在宅就労体験など、就労を意識した課題もあります。
選択科目
上記の代替、または、追加として選択できる科目。
- デザイン学習
- 動画編集
- ExcelマクロVBA
- 情報セキュリティマネジメント試験対策
- ウェブデザイン技能検定試験対策
- 応用情報技術者試験対策
応募方法
例年、開講の前年10月頃に募集要項を公開しています。
個別説明会
年間を通して随時、個別にオンライン説明や相談ができます。
お気軽にお問い合わせください。
講座の特徴
東京都の補助事業
障害者総合支援法に基づく事業ではないため、他の障害福祉サービスとの併用に制限はありません。
学習時間を確保できれば、通信制大学などの教育機関の併用も制限はありません。
就労を目指す講座であるため、就労移行支援・福祉的就労などの併用についてはご相談ください。
在宅等で学ぶことができる

年間の講習スケジュールにあわせ、学習に取り組みます。
専用の学習システム(eラーニング用システム)を用いて、学習状況の管理などを行います。
自宅以外でもインターネット接続環境があれば、どこからでも学ぶことができます。
ひとりひとりにあわせた細やかな学習指導
2週間に1回程度、講師がご自宅などに訪問し、対面で学習状況を確認。
個々の進捗や理解度に応じて学習内容を調整します。
訪問が難しい場合、オンラインでの対応も可能です。

同期や先輩後輩との交流機会
月1回のオンライン交流会、年3~4回の集合対面スクーリングがあります。
また、会社見学、修了生講話セミナー、修了生との交流会など、在宅就労をしている方たちと直接対話できる機会があります。
[スクーリング内容の表示] [スクーリング内容の非表示]
- プログラミング、アルゴリズム
- AIプロンプト
- デザイン演習
- プレゼン演習
- ビジネスマナー
- 就労に関する福祉制度と法律
- グループワーク
学習時間は自主決定
対面集合スクーリングを除き、規定の学習時間はありません。
講習生自身が1週間単位の時間割表を作成し、都合の良い時間帯で学習に取り組みます。
通院やリハビリなどを優先し、生活リズムを整えることができます。
[時間割表例の表示] [時間割表例の非表示]

入講直後の4月中に試行錯誤して作成。年度途中でも随時変更が可能です。
試験合格を目指せる
障害ある方への情報処理技術の指導に長年の実績を持っています。
講師は、ITエンジニアの実務経験者、情報処理・福祉の有資格者です。
[目指せる試験の表示] [目指せる試験の非表示]
当講座は基本情報技術者試験の「科目A試験免除対象講座」に認定されており、希望者は免除対象講座を受講することができます。
講座の歴史
「トーコロソフトウェアハウス」(東京都重度障害者プログラマ養成事業)
1982年(昭和57年)、社会福祉法人東京コロニーの事業として、トーコロソフトウェアハウスが開所しました。
この事業は、重度身体障害者に対する新しい職域の開拓として、プログラマーの養成を行い、その在宅就労システムを確立することにより、在宅就労における自立を図ることを目的とする、我が国初の試みです。
事業開始には、東京都、公益財団法人三菱財団様、三菱商事株式会社様をはじめとする数多くの方々のご援助をいただきました。
また、開所式には、厚生労働大臣、東京都知事、三菱商事社長様など多数のご臨席を賜りました。

「東京都重度身体障害者在宅パソコン講習事業」

1989年(平成元年)、通信技術の発展に伴い、コンピュータ技術の習得はパソコン通信(のちにインターネット)による在宅講習に切り替えました。
完全在宅で、IT系国家試験に合格、専門的なIT技術まで学べるこの講座は、今日まで多くの修了生を輩出。
時代にあわせたカリキュラムで継続しております。
修了生からのメッセージ
戸塚 健一さん
2019年 プログラマコース修了
疾患 1種1級
現在 フリーランス 仕事と入院生活を両立中
わたしは、病気のため幼少の頃より今日(こんにち)まで入院生活であり、この2年の講座も院内での受講でした。
学校は院内学級でしたので、在宅パソコン講習のような遠隔でやりとりする勉強の仕方は体験したことがなく、一人の環境で毎日こつこつ勉強する難しさとやりがいを初めて知りました。
講習の中でも集合教育のスクーリングは、皆さんと食事したり話ができて楽しい時間を過ごせました。
長期入院で普段なかなか外に出られない自分にとって貴重な外出の機会でした。
卒業のグループワークは、既存サイトの英語版ページの制作で、複数人でリモートで共同制作するのは新鮮でした。
模擬面接・模擬就労は病院とWeb会議で繋いでの実施だったのが印象に残っています。
未来の受講生にひとこと

入院中学習が出来ないこともありましたが、仲間や講師の先生方にも助けて頂き何とか2年間やり遂げることが出来ました。
現在は、病院という制限のある環境ではありますが、ICT作業を通じて、画像関連の受託業務や有償ボランティアなどを、外の人と関わりながら実施しています。
恐れず一歩を踏み出すことが大事だと思っています。
松尾 美千代さん
2005年 アプリケーションコース修了
関節リウマチ 1種1級
現在 株式会社テレビ朝日の在宅勤務社員
もともと百貨店に勤務していましたが、在職中に関節リウマチを発症し退職いたしました。
その後、このIT技術者在宅養成講座で2年間学び、国家試験である初級システムアドミニストレータ試験に合格。
現在は今の会社でテレビ番組の字幕放送の字幕を制作する仕事をしております。
字幕制作の過程は、メールでの指示はもちろん、映像や資料のダウンロードから素材やメモのアップロードにいたるまで、パソコン作業がほとんどです。
思い起こせば、この講習で学んだコンピューターの基礎知識やアプリケーションの利用技術が今の仕事の土台となっていると言えるでしょう。
また、コミュニケーションの取り方やメールのやりとり、様々な課題への取り組み方も講習の中で身につけたものであり、今日の自信につながっています。
あわせて時間のやりくり・スケジュールの組み方などの自己管理も実践できたこの2年間は、本当に貴重な時間でありました。
未来の受講生にひとこと

今こうして在宅勤務ができるのは、今まで出会った多くの方々やともに働く方々の支えがあるからこそだと思っています。
必要としてくれる思いに応えるためにも、体調を崩さず、コンスタントな継続が大事。
皆さんも、慣れるまで大変だと思いますが、技術の学習とともに、体調や生活リズムを養う2年間にしてください。